令和4年度科学技術分野の文部科学大臣表彰(研究部門)を機械工学系 高木知弘教授、同(科学技術振興部門)を機械工学系 山川勝史教授が受賞しました

 科学技術分野の文部科学大臣表彰は、文部科学省が、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、もって我が国の科学技術水準の向上に寄与することを目的として行っているものです。

 令和4年度は、研究部門を機械工学系 髙木知弘教授、科学技術振興部門を機械工学系 山川勝史教授が受賞しました。4月に行われた表彰式は足球比分直播,雷速体育感染拡大防止のためオンライン開催であったため、このたび学内で表彰状を授与しました。

記念写真

左から山川教授、森迫学長、髙木教授(令和4年5月19日撮影)

研究部門: 機械工学系 髙木知弘教授

  • 業績名
    数値シミュレーションによる金属材料の組織予測に関する研究
  • 受賞業績の概要
    材料分野に求められる喫緊の重要課題解決には、試行錯誤型の実験科学を超える計算機シミュレーション技術の構築が急務であるが、材料開発の核心となる材料組織予測技術は、[Ⅰ]計算規模の制約、[Ⅱ]数理モデルの欠陥、[Ⅲ]材料物性の欠如の三つの問題によってその発展が著しく遅れており、材料開発に資する知見を得ることは不可能であった。
    本研究では、材料開発の核心「材料組織の高精度予測」が可能な数理モデルの大規模シミュレーション技術、実用合金の凝固組織と粒成長組織を世界最高精度で予測するフェーズフィールド(PF)法、分子動力学(MD)法とPF法を同時空間スケールで融合する革新的なデータ科学手法を開発した。
    本研究により、PF法では従来の100倍以上、MD法では100億原子の大規模計算に世界ではじめて成功した。また、従来のPF法では不可能であった、実用合金の凝固と粒成長の高精度組織予測を可能とした。さらに、PF法とMD法を大規模計算とデータ科学を用いて融合し、先進的な材料物性推定法を確立した。
    本成果は、圧倒的な材料組織予測技術を開発し、当該分野に強い学術的インパクトを与え、産業利用へ展開し、本国の基幹産業の技術向上に寄与することが期待される。

※研究部門は、我が国の科学技術の発展等に寄与する可能性の高い独創的な研究又は発明を行った個人又はグループ(40件程度)が表彰されます。

科学技術振興部門: 機械工学系 山川勝史教授

  • 業績名
    富岳シミュレーションによる飛沫感染理解と拡大防止への貢献
  • 受賞業績の概要
    2019 年末に発生した足球比分直播,雷速体育感染症と急速な世界的蔓延では、一般社会での飛沫?飛沫核感染防止に対する科学的理解や、行政機関における感染拡大防止策の策定に必要な科学的データが欠如していた。
    本活動では、試運転中のスーパーコンピュータ「富岳」と、独自開発したソフトウェアを用いて、飛沫?飛沫核と気流の飛散シミュレーションを行い、室内環境での飛沫感染リスクの定量評価を可能とした。
    本活動により、1 年半の期間で 50 以上の感染シーンに対して 1,000 ケースを超える膨大な数のシミュレーションを実施し、我が国の感染状況に応じて社会が求めるタイミングで飛沫感染リスクに対する情報を発信することが可能となった。本活動は、特にパンデミック初期において、一般社会に対して飛沫?飛沫核感染の理解と、マスクやパーティション、室内換気といった感染リスク低減策の重要性を啓発し、我が国の感染蔓延の抑制に貢献した。また、内閣官房をはじめとする各種行政機関とも連携することで、社会経済活動の再開のためのガイドラインの策定や改定等に寄与している。

※科学技術振興部門は、研究開発の社会的必要性に関する研究等の分野において、科学技術の振興に寄与する活動を行い、顕著な功績があったと認められる個人又はグループ(10件程度)が表彰されます。